愁太郎 「・・・お前、誰?」
























*** 「え・・・」















*** 「ぼくですよ!」



















愁太郎 「・・・知らないな。ってかマジで誰?」

















*** 「・・・愁太郎さん?」



















愁太郎 「・・・なんちゃって」















幸村 「・・・・・・」

















幸村 「・・・・・・」












幸村 「・・・久しぶりですね!」



愁太郎 「そだな。」


幸村 「・・・ぼくは、あなたがもっと驚くかと思っていました」


愁太郎 「そんな驚くほどのことじゃないじゃん。おかえり」














愁太郎 「まー、結構久しぶり? だっけ?」


幸村 「こんなに長くここを留守にしたことはありませんでした」


愁太郎 「そうだっけかな」


幸村 「ぼくはてっきり、あなたがぼくのことをものすごく心配しているだろうと思っていました」


愁太郎 「行き先もよくワカンネーから、心配のしようがありませんでした」












愁太郎 「・・・・・・で、里帰りはどうだったわけ? 楽しかった?」


幸村 「ええ、行きと滞在中は良かったんですが。でも帰り際にいろいろあって」

愁太郎 「フーン」


幸村 「実はあなたのお土産に買ったソーセージも非常食として途中で食べてしまいました。

あのソーセージは絶品だから、あなたも楽しみにしていたでしょう? 本当にごめんなさい」


愁太郎 「いや、去年もボクほとんど食べてないしな・・・」



幸村 「今度ぼくのおごりで焼肉か、台湾料理の腸詰でも食べに行きましょうね」

愁太郎 「・・・おまえ相変わらず肉好きだね」








幸村 「・・・愁太郎さん」


愁太郎 「ん?」


幸村 「ぼくがいないあいだ、どうしていました?」


愁太郎 「別に。フツーに働いて、休日はゴロゴロしていました、まる」


幸村 「念のため聞きますけど、独りぼっちで寂しくなかったですか」


愁太郎 「特には」


幸村 「そうですか。・・・やっぱり相談しにくいなぁ」













幸村 「・・・愁太郎さん」


愁太郎 「ん?」


幸村 「あなたはその・・・独りでいるほうが気楽? ぼく・・・いや、誰かと一緒に住むより?」


愁太郎 「リス一匹くらいいてもいいよ」


幸村 「一匹くらいなら・・・そうか、そうですよね。一匹・・・」


愁太郎 「? なんだよ」



幸村 「・・・実はね、着いて早々ですけど、ぼくあなたに相談があるんです」


愁太郎 「相談?」


幸村 「ええ。あなたは多分面食らうと思うんだけど」


愁太郎 「なによ」



幸村 「・・・ぼく、あなたにぼくのお父さんのこと、話したことありましたかね?」


愁太郎 「えーと、例の、「若い頃日本を旅して、大の日本びいきでうんぬん」っていう親父さん?」


幸村 「ええそうです! でも、これはあんまりお父さんの日本びいきのこととは関係ないんだけど・・・」


愁太郎 「はぁ」


幸村 「・・・実は、ぼくのお父さんはホルツヘイムで遺伝子工学を研究しているんですが」


愁太郎 「はぁ?」










愁太郎 「いま何つった? なにを研究してるって?」


幸村 「遺伝子工学」




愁太郎 「・・・お前の親父さんって、リスだよな?」


幸村 「ええ」


愁太郎 「リスが遺伝子工学?」


幸村 「その分野においては、10・・・いや、100年に一度の天才と言われています」













愁太郎 「さぁ本日もやってきました、スーパーワケワカンネータイム」


幸村 「あぁ、やはり相談はしないでおいたほうがいいのかな。でも・・・」


愁太郎 「でもなによ」












幸村 「いずれは話さなくてはいけないし・・・でも話しても信じてもらえないかも・・・」





愁太郎 「そういうの一番イラつくよな、実際」














愁太郎 「ったく。なんかあったのかと思いきや、全然フツーにただ遅れただけとか、びびる」


幸村 「ですから、それには色々と事情があってですね」


愁太郎 「フーン」


幸村 「困ったなあ。やっぱり正直に話そうかしら・・・」





幸村 「!!」












幸村 「しゅ、愁太郎さん、ちょっとあっちを向いていて!!」



愁太郎 「?」




幸村 「お願いです、ぼくの話が終わるまで、こっちを見ないで!」


愁太郎 「そう言われたら逆に見るだろ、普通」












愁太郎 「・・・・・・」
















幸村 「ノー! ノー! まだ出てくるんじゃない!!」


*** 「これがれいの、スー太郎?」













*** 「なるほど、青き衣の者なのだな」


幸村 「ハウス! ハウス!! 出てくるなったら!!」














*** 「そしてアタマはアライグマなのだな。・・・覚えたぞ」











<おしまい>

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