愁太郎 「・・・うーむ」






愁太郎 「これってやっぱりちょっとマズいような」





幸村 「?」

愁太郎 「マズいってか、下手すると若干イタい奴だと思われたりして」



幸村 「なにが?」

愁太郎 「うーむ。あの時はすっごくイイと思ったんだけどなぁ」

幸村 「ですから、なにがです?」






愁太郎 「・・・この服。」



























幸村 「このTシャツ? 僕はとても気に入っていますよ!」

愁太郎 「いや、お前は全然いい、ってか、スゴクいいんだけど」







幸村 「あなたにもよく似合っていますよ。この鮮やかなレッドを着ると、大人しいあなたが
とても活動的な少年のように見える!」






愁太郎 「いや、そういう問題じゃなくて。なんていうかこう・・・スゲー親バカみたいじゃない? ボク」

幸村 「?」

愁太郎 「”お揃い”って、よく色んなドールオーナーがやってるけど、あれって普通、自分とこの
人形同士でおんなじ服を着せることだよな」

幸村 「お揃い。」

愁太郎 「オーナーと人形のお揃いって、あんま・・・ってゆーか、男同士の場合、まったく見たことない」

幸村 「そんなものですか」



愁太郎 「くそー。まさかボクのサイズまであるなんて反則だよな。大小並んでるこの画像見たら、
つい衝動買いしちゃうだろ、普通」











幸村 「あれは衝動買いだったのですか。道理で慌てていたわけだ」

愁太郎 「だってさぁ、あの瞬殺ディーラーの戦国家紋Tシャツだぜ? しかもラインナップにこの家紋が
あるとなれば、それはもう買わざるをえない」

幸村 「そんなものですか」

愁太郎 「マニアってのは、ピンポイント突かれると弱いのよ。お前のためにあるような服じゃんか」


幸村 「僕のため?・・・ハッ! 言われてみれば、たしかに僕はドーナッツが好きです!」




愁太郎 「?」






幸村 「それとも、バタを載せたパンケーキを上から見たところかな? 
フフフ、6個も食べたら、おなかがいっぱいになりますね!」












愁太郎 「これ六文銭なんですけど」

幸村 「ロクモンセン?」



愁太郎 「一文銭を六個つなげて六文銭。三途の川の渡し賃だよ。真田家の旗印だろ」

幸村 「なるほど」

愁太郎 「ちなみにこの旗印をつけた真田の兵は、死ぬのを怖がらないでガンガン向かってくるから、
対峙する相手は戦うのをメタクソ嫌がったという」

幸村 「ふむふむ」











愁太郎 「・・・なんだその他人事みたいな反応は」

幸村 「いえ、すみません。・・・あの、愁太郎さん。そのサナダさんって・・・どういう人ですか?」

愁太郎 「ズコッ!




幸村 「すみません、僕、日本の有名人については疎いのです」

愁太郎 「・・・大の日本びいきなんじゃなかったの?」

幸村 「それは僕のお父さんですよ! 若い頃に日本を旅したことがあって、僕の名前を付けたのも
お父さんですから」

愁太郎 「・・・・・・」















愁太郎 「やっぱり幸村に六文銭着せてペアルックってのはいくらなんでもアレかなあ」

幸村 「またその話ですか」




愁太郎 「・・・だって一緒に着てたら、ボクがおまえのことをものすごく大好きみたいだろ。
万が一誰かにそう聞かれた時のことを考えると返事に困る」

幸村 「ふぅむ・・・」





幸村 「もし何か聞かれたら、 ”僕たちは『バタ載せパンケーキ愛好会』です” と答えるのは
どうです?」



愁太郎 「どっちにしろ変な奴なのは間違いないな」


幸村 「困りましたね」


























<おしまい> ※ブラウザバックでお戻り下さい



                                   Special Thanks to : しのの @THIROL (六文銭Tシャツ デザイン・製作)







※作中に登場する 「あの瞬殺ディーラー」 は、リス仲間であり、日ごろから敬愛する少年曹達社さまに

ちなんで、作者が「なんの許可もなく勝手に作ったもの」でした。

…が、なんと2011年3月6日のアイドールにて、「小栗鼠麦酒社」で実際に出展されることになりました。

うれしいやらちょっと申し訳ないやら。(もちろん、戦国家紋Tシャツは売っていません!)