「それでは、ほんの少しのお別れです」






















「よいクリスマスを、愁太郎さん。」




















「ぼくがホルツヘイムから戻ったら、焼きソーセージとビアで、新年をお祝いしましょうね」






「去年のように」

























そう言って、うちを出ていったのは、グリグリ目玉のリス













バタ載せパンケーキ愛好会
借り暮らしの豚
クリスマスの夜に独りでいると、包丁を持ってやってくるボサボサ髪の鬼
茶色くならないドングリ
布人形の少尉
聖歌隊のバッジ
青い車が止まる駅
ドイツの北 イタリアの南

そんな話をボクにしたのは誰だった?


















見慣れないスタンプ


差出人住所の書いてない封筒






















開けてみて初めて、あいつが字を書けることを知った














「”クリスマスおめでとう”」


















「”独りぼっちで寂しくしていませんか”」





「”この手紙が着くころには、もうぼくはそちらへ向かっていると思います”」




















「”今年は早めに帰ろうと思っています”」




















「”お正月には、一緒に神社へ初モディーに行きましょうね”」




















「・・・・・・初モディーもなにも」


















「もう2月だぞっ」









バタ載せパンケーキ愛好会
借り暮らしの豚
クリスマスの夜に独りでいると、包丁を持ってやってくるボサボサ髪の鬼
茶色くならないドングリ

布人形の少尉
聖歌隊のバッジ
青い車が止まる駅
ドイツの北 イタリアの南


そんな話をボクにしたのは誰だった?



















独りぼっちでいると、何もかも、忘れてしまいそう。



















グリグリ目玉のリスめ。










<おしまい>